魅惑のSVEA 123R

アウトドアギアレビュー

1955年の発売以来、アウトドアマンの心を掴んで話さないギアがある。







本体のほぼすべてを構成する真鍮が、鈍い輝きを放つそのギアはSVEA 123Rと呼ばれている。
長い月日の中で、いくつかの改良が施されたものの、基本設計は当時のままを保っている。

SVEA 123Rは、燃料にガソリンを使用するが、昨今メジャーなポンピングタイプではなく、タンク内部の空気の膨張を利用する「自己加圧式」となっている。
従って当然ポンプは無く、可動する部分は燃料バルブだけだ。







また、コールマンのガソリンストーブに代表されるようなジェネレーター機能もない。
可動部が少なく、構造をシンプルすることにより故障リスクの少なさに繋がり、火器の有無が生死の分かれ目となる極寒の冬山をアタックする山屋に重宝された。







今となっては、高性能なガスストーブが主力となり扱いやすさや火力の面では太刀打ちできない。
しかし、この贅肉を削ぎ落としたミニマルな佇まい、プレヒートという所作の後にあげる咆哮に魅了される人は少なくないはずだ。
このプロダクトがヴィンテージではなく現行品として残り続けているのが何よりの証拠ではなかろうか。

「ネイキッド」の状態が最も美しいのは間違いないが、実用品としてユーザーが使いやすくカスタムすることもある。
プレヒートは本体中央にある窪みに燃料を溜めて火をつけることで行うが、低温下や風のふく山頂ではうまくプレヒートできないことがある。







それを防ぐため、プレヒート部にグラスウールのシートを設置した。これによって本体の窪み以上の燃料を吸わせることができ、確実にプレヒートを行える。
また、取っ手は金属製のため燃焼中は取り外しが推奨されているが、火力調整のためにいちいち付け外しするのは手間なので、革でカバーを自作した。







パッキング一式。イグナイターなどないので、ライターは必須だ。もちろん高所での付けやすさを考慮してフリント式を選ぶ。タンク内のガソリンを吸い出してプレヒートに使うためのスポイトもあると便利なグッズだ。







何度か手放そうかと考えたこともあったがその度に生き残ってきた。
この先も現役の道具として残り続けるだろう。そんな大切な一台である。









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