はじめに
アウトドアギアが好きな方であれば、一度は考えたコトがあると思います。
「どんな場所や環境でも使えて、ギア探しの終止符が打てる無敵のギアはないだろうか・・・」
(厨二病感すごい)
もしくは、
「とにかく一つだけ選べと言われたら自分は何を選ぶだろうか・・・」
ストーブにおける私のアンサーとしては真のマルチフューエルストーブと考える「Optimus Polaris」ではないでしょうか。
そもそもマルチフューエルストーブとは、ガス・ガソリン・灯油などの中から2つ以上の燃料を選択できる機器のコトを言います。
それぞれの燃料には、メリットデメリットが存在し、フィールドの環境や用途によって最適な燃料を選択する必要があります。
ざっくりと一例をあげますと、こんな感じです。
メリット | デメリット | |
ガス(OD缶) | 高火力 | 高い |
ガス(CB缶) | 安い・入手性が高い | 低温に弱い |
ホワイトガソリン | 低温に強い | 弱火が難しい |
ケロシン(灯油) | 安い | 長いプレヒートが必要 |
アルコール | 入手性が高い | 火力が弱い |
例えば、私の場合はこのように考えています。
キャンプ
料理の比率が高いためコストパフォーマンスを重視したい。複数のギアを持ち込むため燃料に共通性をもたせたい。
→CB缶 or 灯油
登山
重量・サイズに制限があるため、小型・軽量・高性能を求めたい。生死に直結するため、絶対にお湯を沸かせる安定した火力が欲しい。
→OD缶 or ホワイトガソリン
元も子もない話をすれば、こういったシチュエーションごとに実は適切なギアは存在します。
例えば、キャンプにおいては最適なナイフは包丁であるように、ぶっちゃけカセットコンロが一番いいと思います。
しかしながら、そこはギア好きとしてどうしても譲れない部分もあるのではないでしょうか。
そんな私はこれまでPrimusのMulti-fuelという製品を長年使ってきましたが、壊れてしまった際に出会ったギアが「Optimus Polaris」なのです。
順を追って解説していきます。
ガス/ホワイトガソリン/灯油が使える
古今東西アウトドア用品数あれど、この3種類のメジャー燃料をシームレスに1台で使いまわせるギアはなかなかありません。
これまで、ガソリンストーブ・ガスストーブ・ケロシンストーブと様々なギアを使ってきましたが、昨今ミニマル思考になってきているため複数の機能が同居しているギアに大変惹かれてしまうのです。
例えば対抗馬としてMSRのウィスパーライトユニバーサルと、PRIMUSのOmni fuel Tiがあります。こちらもガス・ホワイトガソリン・灯油が使え、信頼性も非常に高いストーブで、最後まで購入を悩みました。
ニップル交換が不要
上記の対抗馬たちとPorarisの最大の相違点は、ニップル交換が不要ということです。
どういうことかというと、通常はガス・ガソリン・灯油でニップルという燃料の噴出口の径を微妙に変えて、空気と混合する際の燃料の比率を調整しています。
しかし、もし急遽燃料を変更する必要が出てきた際に換えのニップルを持ってきていなかったり、また紛失してしまう可能性もあります。
何より、燃料によっていちいち変えるのが大変で、結局1種類の燃料ばかり使ってしまったり・・・
そこへ行くとこのPorarisはニップル交換無しで3種類の燃料を使い分けることができる、稀有なストーブと言えると思います。
火力バルブが火元のそばにある
これのメリットはズバリ、液体燃料(ホワイトガソリン・灯油)または液出しガス使用時の火力調節のしやすさです。
液体燃料系のストーブは、極低温下でも安定した火力を出せる(プレヒートが必要な場合が多いですが)ことが売りですが、その火力と引き換えに火力調整の幅がないことが多いです。
火力調整バルブが燃料タンク側についている場合、バルブ開閉の調整が火元に反映されるまでに時間がかかってしまい、火力調整がリニアにできないことがあげられます。
OD缶タイプの分離式ストーブでは、低温下で液出しをした際にバルブが燃料タンク側にあると、通常使用では問題なくても液出しした途端に火力調整ができなくなる(ほぼMAX火力になる)ことも経験しました。
火力調整バルブが火元側にあると、いわゆるとろ火が可能で、テント内での飯盒炊爨や沸かしたお湯の保温として使うのに最適です。
Optimasは割とこのタイプが多く、Primus Omnifuel Tiもこの形式です。
燃料接合部がOD缶のネジ
燃料タンクの接合部がOD缶のネジになっているので、市販の変換アダプターを使用することでCB缶タイプのガスを使用できるようになります。
コストパフォーマンスを重視したいキャンプなどでは大変ありがたいですね。
その他特徴
本体にニップルクリーナーが内蔵されているので、山行中にカーボンが詰まって調子が悪くなった際なども安心できます。以外とこの細い針金ってないんですよね。
専用工具にマグネットが内蔵されていて、本体ニップル下部に近づけるとクリーニングロッドが磁石で反発してうきあがり、ジェットのクリーニングができます。
液体燃料ポンプが金属製で、長年の使用でも安心できます。
ゴトクの形状がユニークで、渦を巻くような形状です。
小さいカップから大きめの鍋まで問題なく対応できます。
少しイマイチなところ
万能さと引き換えにやや重量はあります。
ガスならばガス缶、液体燃料だとこれにボトルも加わるので1kg前後になってしまいます。
まあ、液体燃料が必要なのは冬季になるため、重量は許容範囲かと思います。
本体のみで330g 液体燃料ポンプ入りで478g
まとめ
以上のポイントを総合的に判断すると、最終的に残ったのがOptimus Porarisでした。
日本では法規制をクリアできず正規販売がされていないため、海外から取り寄せて購入しました。
(その時は日本のAmazonが今ほど便利でなく、輸入は面倒だったことを覚えています。)
もちろん、消耗品の交換や細かいメンテナンスもすべて自分で実施する必要があり、何かあった際には全くの自己責任ということを承知のうえ購入・使用しています。
したがって万人にお勧めできる製品ではありませんが、ガス・ガソリン・灯油当の火器を長年使ってきた経験があり、珠玉のストーブを探求されている方にとってみたら、この製品はある意味究極の一台と言えるかと思います。
どんなフィールドにも連れ出せて使い方次第で自分色に染められるギアとして、ご参考にされてみてはいかがでしょうか。
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